
BIM/CIMは、建設・土木業界のデジタル化(DX)を推進するため、国土交通省が導入を進めている技術です。2023年度からは、小規模なものを除くすべての公共工事において、原則として適用されています。この施策の大きな目的は、深刻な人手不足の解消と、業務の効率化です。3Dモデルを活用して設計ミスややり直しを最小限に抑えることで、工期の短縮やコスト削減、さらに現場の安全性向上を実現します。
また、関係者全員がリアルタイムで現場の状況を把握できるため、情報共有がスムーズになり、プロジェクトの透明性も高まります。
当記事では、BIM/CIMの具体的な効果や導入のメリットから、建設プロセスでの活用方法や導入効果、注意点まで詳しく解説します。
目次
- ・BIM/CIMとは?建築・土木における定義と違い
- ・BIM/CIMのメリット(建設プロセスの生産性を高める5つの効果)
- ・BIM/CIM導入の注意点(初期費用・人材育成・ツール選定)
- ・まとめ
- ・Q&A
BIM/CIMとは?建築・土木における定義と違い
BIM(建築分野の3Dモデル管理技術)
BIM(Building Information Modeling)は、3次元モデルを活用して建築物の計画から設計、施工までを効率化するデジタル技術です。主に建築分野で導入されており、建物の形状だけでなく、材料や強度といった属性情報を一括して管理できるのが特長です。このデータをプロジェクトの各工程で共有することで、質の高い建築管理を実現します。
CIM(土木・インフラ分野への展開技術)
CIM(Construction Information Modeling, Management)は、3次元データを活用して、建設業務の計画から設計、施工までを一貫してサポートする技術です。主に土木分野で導入されており、構造物そのもののデータだけでなく、地形や地質、周辺環境といった幅広い情報までを包括的に管理できるのが特長です。これらの詳細なデータを活用することで、より高度な施工管理やシミュレーションを実現します。
BIM/CIMのメリット(建設プロセスの生産性を高める5つの効果)
1. 設計プロセスの効率化(3D視覚化による設計ミスの未然防止)
BIM/CIMによる3次元データを視覚化することで、設計精度が大幅に向上します。このことから、従来の2次元図面では確認が難しかった鉄筋の配置や配管の干渉なども立体的に把握できるようになるため、設計ミスを未然に防ぐことが可能になります。
また、建材の数量を正確かつ効率的に算出できるため、材料の余剰や不足といった問題の解消も期待できます。
さらに、既存の構造物や周辺の支障物との位置関係も事前にシミュレーションできるため、設計のやり直し(手戻り)を最小限に抑えられます。
2. 施工プロセスの効率化(直感的な把握による作業負担と手戻りの削減)
BIM/CIMの3次元データを活用することで、従来の2次元図面では把握しづらかった複雑な施工プロセスも直感的に理解できるようになります。これにより、現場作業との照合作業がスムーズになり、作業効率が大幅に向上します。
また、安全教育や安全管理を視覚的に分かりやすく行えるため、現場全体の安全性向上にもつながります。
さらに、設計変更が生じた際も、数量算出や調整作業を迅速に行えることも大きなメリットです。報告書作成などの事務作業における「二度手間」も解消されるため、現場全体の業務負担を軽減しながら、工事を円滑に進めることが可能になります。
3. 維持管理プロセスの効率化(点検データのデジタル一元管理とコスト低減)
従来、建設・土木現場では、維持管理に必要な台帳や竣工図面、点検・補修の記録などが「紙」と「電子データ」でバラバラに管理されていました。BIM/CIMを活用することで、現場で必要な資料を即座に検索・参照できるようになり、重要点検箇所の位置や構造も容易に把握できるようになります。
さらに、点検結果に基づいた補修計画の立案がスピードアップするため、対応の遅れによるリスクを最小限に抑えられます。
その結果、維持管理プロセス全体の効率が上がり、長期的にはメンテナンスコストの削減にもつながります。
4. プロジェクト全体の生産性向上(フロントローディングによる工期短縮)
BIM/CIMで3次元データを活用することで、設計段階から施工・保守までを事前に詳細にシミュレーションする「フロントローディング(初期段階での課題解決)」が可能になります。
また、図面作成や外観デザインの検討などを並行して進める「コンカレントエンジニアリング(同時並行処理)」を採用すれば、設計から施工までの期間を大幅に短縮できます。
これにより、工期の短縮だけでなく、人件費などのコスト削減も実現可能です。
5. 情報共有の円滑化(ステークホルダーとの迅速な合意形成)
BIM/CIMの3次元データは、視覚的で直感的に理解しやすいため、関係者間での情報共有や合意形成がスムーズになります。これにより、プロジェクトの停滞や遅延を未然に防ぎやすくなります。
また、データを一元管理することで、関係者全員が常に最新の情報を確認できるようになり、計画の変更や修正にも迅速に対応できます。
さらに、地域住民や自治体への説明の際には、視覚的な情報によってステークホルダーからの理解が得やすくなり、地域や工事関係者との協力体制も構築しやすくなります。
BIM/CIM導入の注意点(初期費用・人材育成・ツール選定)
BIM/CIMの導入にあたっては、いくつかの課題も存在します。
まず、専用ソフトウェアや高性能PCの購入といった「初期費用」が必要になります。ソフトウェアによっては年間ライセンス費用が発生するケースもあり、中小規模の事業者にとってはコスト面での負担が大きくなることがあります。
次に、自社の業務内容や規模に合った適切なツールの選定も重要な課題です。BIM/CIM対応ソフトは多種多様であり、目的や用途を整理しないまま導入してしまうと、使いこなせずにコストだけがかさむリスクがあります。
また、3Dモデルを扱うための専門知識を持つ人材の育成・確保も欠かせません。従来の2次元図面による業務に慣れた現場スタッフへの研修や、操作習熟に一定の時間を要する点も考慮する必要があります。
こうした導入時のコストや手間を考慮しても、全工程で得られる生産性の向上や品質管理の精度、将来的なメンテナンスコストの削減効果は、それらを補って余りある大きなメリットを業界にもたらします。
まとめ
BIM/CIMは、3次元データを活用して建築・土木業務の計画から施工、維持管理までを一貫して支援する技術です。導入により、設計ミスや手戻りの防止、正確な数量算出によるコスト削減、そして現場の安全性向上など、多くの成果が期待できます。これらは、建設・土木業界が抱える慢性的な人手不足の解消や、プロジェクト全体の効率化を強力に後押しする要素です。
また、3次元データは直感的に理解しやすいため、関係者間での情報共有や合意形成がスムーズになり、プロジェクトの停滞を防ぐ大きな力となります。
当社が提供する「ChronoSky 3D」は、BIM/CIMで生成した3次元モデルを現況から作り出した3次元空間に取り込むことができ、現場の負荷を大幅に軽減します。これにより、プロジェクト全体の品質底上げを可能にします。お気軽にお問い合わせください。
Q&A
Q. BIM/CIMは、建設CALSとはどう違いますか?
日本建設情報技術センターによると、下記のように解説してあります。
「もともと土木分野においては「建設CALS」が進められてきました。建設プロセスの中でデータを共有し合理化を図るという意味では同じような概念に思われるかもしれません。しかし建設CALSとBIM/CIMの大きな違いは、前者がデータの標準化に留まっていたのに対し、後者はデータを生かしてどのような効果をあげるか、ということに注力している点です。データが共通のプラットフォーム上で交換されるようになっても受発注者全てにメリットがなければ意味がありません。建設CALSは一定の成果は挙げたものの、それを超えてBIM/CIMは非常に期待されています。」
参照:日本建設情報技術センター「BIM/CIMとは?」
Q. 義務項目と推奨項目はどう違いますか?
国土交通省のBIM/CIM推進委員会によると、下記のように分類してあります。
「義務項目は、「視覚化による効果」を中心に未経験者も取組可能な内容とした活用目的であり、原則すべての詳細設計・工事において、発注者が明確にした活用目的に基づき、受注者が3次元モデルを作成・活用する。推奨項目は、「視覚化による効果」の他「3次元モデルによる解析」など高度な内容を含む活用目的であり、一定規模・難易度の事業において、発注者が明確にした活用目的に基づき、受注者が1個以上の項目に取り組むことを目指す(該当しない業務・工事であっても積極的な活用を推奨)」
参照:国土交通省「令和5年度BIM/CIM原則適用について」
Q. コアのドローンサービス「ChronoSky 3D」はどんなサービスですか?
「ChronoSky 3D」は橋梁・砂防・トンネルといったインフラ施設の点検時に、ドローンで取得した3D地図上に過去と現在のデータを表示し、点検記録・写真・帳票を一元管理することが可能です。 AIを通して施設を横断した類似変状の検索や、帳票・写真・動画から点検データを自動登録できるため、 過去データとの比較や変状箇所の抽出、補修・点検が必要な施設の優先順位決めが容易になり、 迅速な判断、引き継ぎ時間の短縮につながります。また、専門ソフトを使わずにブラウザ上で3Dモデルを共有でき、 関係者間の情報連携が円滑になることで、維持管理の効率化とコスト削減に貢献します。
詳しくはChronoSky 3Dの商材ページをご覧ください。
参考文献
- 建設 IT NAVI「公共事業でBIM/CIM原則適用! バックオフィスへの影響は?」
- 日本建設情報技術センター「BIM/CIMとは?」
- 国土交通省「令和5年度BIM/CIM原則適用について」
- BIM/CIM HUB「【図解】BIM/CIMとは?超初心者にも基本からやさしく解説」
- 株式会社システムインテグレータ「BIM/CIMとは?意味やメリット、活用シーンを徹底解説」
- SketchUp Pro Japan「BIM/CIMとは?導入メリットや活用シーンについて解説」
- 国土交通省「BIM/CIM関連(技術調査)」
- 国土交通省「BIM/CIM関連基準要領等(令和7年3月)」
- 国土交通省「BIM/CIM関連基準要領等(令和5年3月)」
- 国土交通省「BIM/CIMの進め方について」
- 国土交通省「令和5年度のBIM/CIM原則適用に向けた進め方」
- 国土交通省「BIM/CIM活用ガイドライン(案)第1編 共通編」
- 国土交通省「BIM/CIMモデル等電子納品要領(案)及び同解説」
- 国土交通省「土木工事・業務の情報共有システム活用ガイドライン 令和6年3月」
- 国土交通省「事業監理のための統合モデル活用ガイドライン(素案)」
- 国土交通省「官庁営繕事業におけるBIM活用」
- 国土交通省「建築BIMの意義と取組状況について」
- 国土交通省 国土技術政策総合研究所「フロントローディング・コンカレントエンジニアリングの活用効果(BIM/CIM研修テキスト)」
- Trans Simulation「BIM/CIMの原則適用について BIM/CIM導入の効果と課題点」
- KENTEM「BIM/CIMとは?概要から目的・利用制度や活用の方法を解説」
関連リンク
※本記事の記載内容は2026年3月現在のものとなります。
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