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ドローン点検とは?活用事例やメリット・デメリットを解説

カメラ等を搭載したドローンを使って点検を行うドローン点検。近年では橋梁やダム、太陽光パネル、建築物の外壁・屋根など様々な施設や設備でドローン点検が行われており、国土交通省の規制緩和で普及が急速に進んでいる現状です。

今回はドローン点検の活用事例やメリット・デメリットを解説します。


目次

 

 

ドローン点検とは?

ドローン点検とは、カメラ等を搭載したドローンを使って点検を行うことです。

ドローンは遠隔操作が可能なため、高所や狭所といった従来の点検が困難な場所でも、安全かつ高精度な点検を実施できます。また、短時間・少人数での作業が可能となり、点検業務の効率化とコスト削減も実現できます。

 

 

国土交通省の規制緩和

2021年9月、国土交通省は航空法施行規則を改正し、ドローンを含む無人航空機の運用に関する規制を緩和しました。これにより、さまざまな産業分野においてドローンの活用が一層進んでいます。緩和されたポイントは以下の2点です。

地表や水面から150m以上の空域

従来は、地表または水面から150m以上の空域でのドローン飛行には国土交通省の許可が必要でしたが、高層の構造物から30m以内の飛行には許可が不要となりました。

(出典:令和3年 内閣府『ドローン飛行に関する規制改革について』)

人口密集地上空などの飛行

従来は、人口密集地上空の飛行は国土交通省の許可が必要で、夜間飛行や目視外飛行、人や物からの距離が30m以内の飛行、空中散布を含むものの投下は国土交通省の承認が必要でした。しかし規制緩和後は、十分な強度がある長さ30m以内のヒモなどでドローンを係留し、かつ飛行可能な範囲内を第三者の立ち入り禁止とすれば、許可や承認は不要となりました。

(出典:令和3年 内閣府『ドローン飛行に関する規制改革について』)

 

 

ドローン点検のメリット

次にドローン点検にどのようなメリットがあるかを見てみましょう。

安全性の確保

ドローン点検の大きなメリットとして、まず点検作業が安全になることが挙げられます。

従来の点検作業では、高所での作業が必要となるケースが多く、転落事故のリスクを伴います。実際に、厚生労働省の『令和3年労働災害発生状況の分析等』によると、墜落や転落による死亡事故は毎年報告されています。

近年、インフラの老朽化に伴い点検需要が高まる中、ドローン点検の導入により、安全性を確保しながら業務の効率化を図ることが可能です。ドローンは遠隔操作が可能なため、現場に立ち入ることなく高解像度の画像や映像を取得でき、事故リスクの大幅な軽減が期待されます。

点検時間の短縮

点検作業を人が行う場合には、点検箇所の一つひとつを人が移動しながら見て回らなければなりません。高所点検の場合は足場の設営やクレーンの設置も必要なので時間を要します。

ドローン点検では足場の設営やクレーンの設置は必要ありません。高速で飛行でき多数の箇所の点検を上空から撮影できるなど、人が直接見て回るよりも短時間で点検可能です。

橋梁点検において点検車やロープアクセスで3時間要する作業時間が、ドローンの活用で1時間に短縮されたという結果も公表されており、今後も点検作業の効率化が期待できます。

省人化の推進

ドローンによる点検は少人数の作業員で実施できます。

人による点検では、点検箇所が広範囲にわたる場合などは複数の点検作業員を配置しなくてはなりません。また足場設営が必要な場合は、そのための作業員やクレーン、クレーン運転手やオペレーター、安全管理者、交通整理の警備員なども必要になってきます。

ドローン点検は操縦者が最低1人いれば広範囲の点検作業もできるため、少人数での点検が可能です。

コスト削減

ドローン点検は、短時間かつ少人数で実施可能であり、特別な車両や設備を必要としないため、大幅なコスト削減が期待できます。

AIとの併用による点検効率の向上

ドローンとAIの併用で高効率な点検ができることも大きなメリットと言えるでしょう。

ドローンに搭載された高性能カメラを使用することで、高精度な写真や映像の撮影が可能となり、人の目視点検と同等の精度で点検を実施できます。さらに、AIによる画像解析を併用することで、劣化箇所の自動検出も可能となります。従来の目視点検では見落としもありましたが、AIを活用することで、より正確かつ迅速な診断を実現します。

当社ではドローン点検に関する各種ソリューションを提供しております。ぜひご検討ください。

 

 

ドローン点検の活用事例

ドローンによる点検が具体的にどのように活用されているのか、8つの事例を見てみましょう。

公共測量

ドローン測量は、公共測量への本格的な導入が期待されています。従来の地上測量と比較し、広範囲を短時間でカバーできるのが大きな特長です。さらに、車両や機材の搬入が困難な場所や、がけ崩れ・土砂崩れなどの危険な現場でも、安全かつ効率的な測量が可能となります。


(出典:令和3年 国土交通省『国土交通省のドローン活用事例』)

港湾

防波堤などの港湾施設の点検でもドローンの活用が進んでいます。AIも活用した港湾施設の3Dデータ化や、施設の変状を自動的に抽出する点検診断システムも開発されています。

(出典:令和3年 国土交通省『国土交通省のドローン活用事例』)

道路・橋梁

従来の橋梁点検では、点検対象に人が直接近づく必要があり、橋梁点検車を使用して作業を行うため、通行規制が不可欠でした。道路利用者への影響が大きく、点検コストも高額になる傾向がありました。

しかし、ドローンを活用することで、飛行しながら損傷箇所を確認できるため、橋梁点検車や通行規制が不要となります。その結果、道路利用者の利便性が向上し、点検業務の効率化とコスト削減も実現できます。

(出典:令和3年 国土交通省『国土交通省のドローン活用事例』)

鉄道

鉄道では列車運行のない夜間など限られた時間内に点検を行う必要があります。鉄道のトンネルや橋梁、線路の点検にドローンを活用することで、点検の効率化・省力化を実現でき、さらに豪雨や台風などによる被災状況の点検にも活用が期待されます。

(出典:令和3年 国土交通省『国土交通省のドローン活用事例』)

プラント設備

プラント設備などの点検にもドローンは活用されています。

避雷針の点検は建設物や構造物の高所にあるため、足場の設営など労力がかかるうえに転落の危険もあります。

そこでカメラを搭載したドローンを点検に用いることにより、ボルトのサビや脱落などはないか、溶接部の腐食やワイヤーの亀裂はないかなどを鮮明に撮影し、確認できるようになりました。

(出典:令和3年 国土交通省『プラント設備等におけるドローンを活用した点検事例集』)

火山等の観測

火山の観測・監視にもドローンが活用されています。

気象庁では噴火の前兆を捉えて警報を適確に発表するため、24時間体制での火山の観測・監視を行っていますが、定期的に職員が現場に赴く必要もあり危険な作業です。

しかし可視カメラと赤外カメラを搭載したドローン導入により、人間が危険な場所に立ち入ることなく火口周辺の詳しい状況の確認が可能となりました。また噴火に至るプロセスの研究等、ドローンを用いた空中熱赤外観測にも活用されています。

(出典:令和3年 国土交通省『国土交通省のドローン活用事例』)

ダム・堰堤

大雨や地震、火山噴火などの影響で、土砂が河川をせき止めて形成される天然ダムや、河川の土砂流出を防ぐために建設される砂防ダムの点検・調査にもドローンが活用されています。

天然ダムや砂防ダムのある山間部は、徒歩で点検現場まで行く必要があるため、移動時のリスクやコストが生じます。自然災害による地形変化や植生の変化などで前回の点検場所を見失うことも少なくありません。ドローン点検を導入すれば、あらかじめ飛行ルートをプログラムすることによって操縦者の目の届かない場所でも自動飛行し、毎回同じ場所・同じ画角から撮影することができます。

当社のドローン「ChronoSky PF2」は、準天頂衛星「みちびき」の測位補強サービス「CLAS」の利用により、誤差を数センチメートルにまで抑えて飛行できるため、携帯電話不感地域に建設されているダムにおいてもドローン点検が可能です。

太陽光パネル

従来、太陽光パネルの点検は作業員が1枚ずつ目視で不具合や破損を確認する必要があり、郊外や山間部に設置されることが多い大規模な太陽光発電所では、膨大なコストと時間を要するという課題がありました。

しかし熱検知カメラを搭載したドローン導入によって、広範囲の太陽光パネルの中から不具合や破損があるパネルを短時間で検出可能になりました。またドローン点検は操縦者1人で可能なため、時間や人件費、各コストの削減が実現できます。

 

 

ドローン点検のデメリット

ドローン点検には多くのメリットがある一方、以下のデメリットもあります。

  • 触診できない
  • 雨天・強風時に点検ができない
  • 法規制で飛行が制限されるエリアがある
  • 点検時に応急処置ができない

このように点検作業における気候や法規制の影響など様々なデメリットも存在するため、導入の際には十分な検討が必要です。

 

 

まとめ

2021年9月に航空法施行規則が改正され、今後の点検業務においてもドローン活用が期待されます。

従来、車両や機材の持ち込みが困難な場所や、人が立ち入ると危険な現場では、点検業務に多くの課題がありました。しかし、ドローンを活用することで、安全性の確保に加え、点検時間の短縮や人件費の削減など、さまざまな課題の解決が可能となります。

当社ではドローン点検サービス「ChronoSky Eyes」 や「CLAS」、「MADOCA」といった様々な測位方式に対応したGNSS受信機など、幅広いソリューションを提供しております。
ご気軽にお問い合わせください。

 

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※本記事の記載内容は2025年3月現在のものとなります。
※本事例で記載されている会社名および製品名は、各社の商標または登録商標です。

 

 

 

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