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物流効率化法とは?法整備の目的やメリット、認定基準を詳しく解説

物流業界は今、大きな転換点を迎えています。ドライバー不足の慢性化、脱炭素への社会的要請、そして2024年4月に施行されたトラックドライバーへの時間外労働上限規制が重なり、従来の物流モデルのままでは事業継続リスクが高まる状況になっています。

こうした課題への対応策として、押さえておくべきなのが「物流効率化法(物資の流通の効率化に関する法律)」です。物流効率化法は、物流事業者と荷主企業など複数の事業者が連携して効率化に取り組む計画を国が認定し、税制優遇・補助金・許認可特例といった具体的な支援を受けられる仕組みを定めた法律です。

今回は、物流効率化法の概要から認定のメリット、総合効率化計画の認定を受けるための申請基準まで、意思決定に必要な情報を体系的に解説します。


目次


 

 

物流効率化法とは?概要・支援内容をわかりやすく解説

物流効率化法の支援の対象となる事業は、輸送・保管・荷さばき・流通加工を一体的に行うものです。これらを組み合わせて効率化を図る取り組みが認定の対象となります。認定を受けた事業者には、主に3種類の支援が用意されています。

●税制特例・補助金・金融支援などの財務的支援
●物流施設の立地規制に関する許認可上の特例
●事業推進に必要な行政手続きの簡素化

本法が他の支援制度と大きく異なるのは、生産性向上と環境負荷低減を同時に実現できる枠組みである点です。たとえば、共同配送によって積載率が上がれば、燃料費の削減とCO2排出量の削減が同時に達成されます。コスト改善と脱炭素を別々の施策として取り組む必要がなく、経営資源を効率よく配分できる点は、実務上の大きなメリットです。

なお、本法は定期的に改正が行われており、2024年5月の改正では物流のデジタル化・グリーン化への対応が強化されました。社会情勢の変化に合わせて支援内容が更新される点も、長期的な活用を検討するうえでの安心材料といえます。

 

 

物流効率化法が制定された背景と3つの課題

物流効率化法が生まれた背景には、物流業界が長年抱えてきた下記の課題があります。

1. トラックドライバー不足(2028年に約27.8万人が不足)

物流業界のドライバー不足は、今や業界全体の存続に関わる問題です。2028年には約27.8万人が不足すると予測されており、その主因は労働環境にあります。長時間労働・低賃金が若年層の業界離れを招き、ドライバーの高齢化が進むという悪循環が続いています。この状況が実務に直結しているのが、配送遅延をはじめとする物流サービスの質の低下です。人手不足は「将来の課題」ではなく、すでに事業運営に影響を及ぼしています。

2. CO2排出量の削減(運輸部門は日本全体の約19.2%を占める)

物流分野の脱炭素は、今や避けられない経営課題です。運輸部門のCO2排出量は日本全体の約19.2%(2023年度)を占めており、日本が掲げる「2030年度までに温室効果ガス46%削減(2013年度比)」の達成には、物流分野での取り組みが不可欠です。

対応が求められるのは物流事業者だけではありません。荷主企業を含むサプライチェーン全体での排出削減が必要であり、取り組みの姿勢はESG評価にも直結します。電気自動車などの低公害車の導入やモーダルシフトといったグリーン物流の推進は、環境対応と企業価値向上の両面から重要性を増しています。

3. 物流の2024年問題(対策なしで2030年に約34%の輸送力不足)

2024年4月から、トラックドライバーへの時間外労働上限規制が施行されています。規制前は事実上青天井だった労働時間に年間960時間という上限が設けられたことで、これまでと同じ輸送量を確保することが難しくなっています。国土交通省の試算では、何も対策を講じなければ2024年度に約14%、2030年度には約34%の輸送力が不足するとされています。つまり、3台に1台が動かせなくなる計算であり、荷主企業にとっても「運んでもらえない」リスクが現実のものとなります。

こうした状況下で求められるのは、限られた人員・車両でいかに輸送効率を最大化するかという発想の転換です。配送ルートの最適化や積載率の向上はもちろん、トラックから鉄道・船舶へのモーダルシフトや共同配送といった、物流体制そのものの見直しが急務となっています。こうした取り組みを国の支援を受けながら推進できる枠組みが、物流効率化法なのです。

 

 

総合効率化計画の認定を受ける3つのメリット

総合効率化計画の認定を受けることで、事業者は大きく3つのメリットを享受できます。

1. 税制優遇・施設集約・共同配送によるコスト削減

総合効率化計画の認定を受けることで、複数のコスト削減効果が得られます。
まず法人税の特例措置や固定資産税・都市計画税の軽減により、設備投資や事業運営の財務負担が直接軽減されます。
次に、物流施設の集約化によって管理費・固定費の削減が可能です。複数拠点を1つに統合するだけで、運営コストは大きく変わります。
さらに、共同配送の活用により積載率が向上し、燃料費や車両維持費の抑制にもつながります。
これらを個別に取り組めばコストも手間も分散しますが、認定を受けることで一体的に推進できます。

2. モーダルシフトによるCO2削減(トラック比で鉄道約1/11・船舶約1/5)

物流効率化法のもう一つの大きなメリットが環境負荷の軽減であり、中でも効果が大きいのがモーダルシフトです。鉄道輸送はトラック比で約1/11、船舶輸送は約1/5までCO2排出量を削減できるとされており、輸送手段を切り替えるだけで環境負荷を劇的に下げられます。脱炭素への対応が企業評価に直結する今、モーダルシフトは環境目標の達成と輸送コストの削減を同時に狙える有効な手段です。

3. 自動化・共同配送による業務効率の向上

総合効率化計画の認定を受けると、業務効率の面でも大きな改善が期待できます。大規模施設への集約により、自動搬送ロボットやソーターといった自動化設備の導入コストを分散できます。結果として、人手不足の解消と作業スピードの向上を同時に実現できます。
また、物流情報システムの整備により、在庫状況や配送計画をリアルタイムで把握・調整できるようになります。現場の状況に即した迅速な意思決定は、サービス品質の向上にも直結します。
さらに共同配送の活用で積載率が上がり、同じ人員・車両でより多くの荷物を運べるようになります。配送回数の削減は、ドライバーの労働負荷軽減にもつながります。

 

 

総合効率化計画の認定対象となる3つの事業

総合効率化計画の認定対象となる事業は、大きく3つに分類されます。

1. 輸送網の集約(複数拠点を大規模施設に統合する取り組み)

輸送網の集約とは、分散している複数の物流拠点を1つの大規模物流施設へと集約する取り組みです。具体的には、輸送連携型倉庫(特定流通業務施設)を中核とした輸送網の再編成が対象となります。この方式を採用することで、配送センターの統廃合が進み、トラックの移動距離や必要台数を大幅に削減可能です。また、大規模施設への集約により、最新の自動化設備の導入も容易になります。

2. 輸配送の共同化(複数事業者が連携して輸送コストを削減)

輸配送の共同化は、複数の事業者が連携して輸送・配送を共同で行う取り組みです。同業他社はもちろん、異業種との連携によっても効率的な物流体制を構築できます。主な実施方法として、共同配送センターの設置や配送ルートの共有があります。各社が個別に配送する場合と比べてトラックの積載率が上がり、燃料費・車両維持費の削減と走行距離の短縮による環境負荷の低減を同時に実現できます。

3. モーダルシフト(トラックから鉄道・船舶へ転換しCO2を削減)

モーダルシフトとは、トラック輸送から鉄道や船舶へと輸送手段を切り替える取り組みです。鉄道や船舶は一度に大量の貨物を運べるため、輸送効率の向上とCO2排出量の削減を同時に実現でき、脱炭素への取り組みとしても有効な手段です。

 

 

総合効率化計画の認定までの流れ(5ステップ)

総合効率化計画の認定までは、およそ2ヶ月を要します。認定後3年間は、毎事業年度終了後3ヶ月以内に実施状況の報告が必要です。計画を変更・中止する場合も、別途所定の手続きが求められます。手続きの流れは下記のとおりです。

1. 事前相談

地方運輸局の窓口に相談し、認定対象となるか、希望する支援措置の適用可否、申請に向けたスケジュールなどを確認します。税制特例や開発許可を希望する場合は、この段階で自治体の担当部局とも早めに調整しておくことが重要です。

2. 認定計画の作成・申請

事前相談を踏まえ、事業目的、実施体制、効率化の効果、スケジュール、費用などを盛り込んだ事業計画を作成し、認定申請書と添付書類とともに運輸局へ提出します。

3. 審査・認定書の交付

申請内容について認定基準への適合性審査が行われます。計画区域が広域にまたがる場合は国土交通省本庁での審査となるケースもあります。審査を通過すると認定書が交付されます。

4. 事業の実施

認定された計画に基づき事業を開始します。なお、倉庫業や貨物自動車運送事業など関連する許認可手続きは、認定申請と同時に行うことも可能です。

5. 実施状況の報告

毎年度、事業の進捗状況を報告します。認定後3年間は報告が義務づけられており、計画どおりの進行管理が求められます。

 

 

まとめ

物流業界を取り巻く環境は、待ったなしの状況です。ドライバー不足は年々深刻化し、2024年問題による輸送力低下はすでに始まっています。脱炭素への対応も、もはや避けられない経営課題です。こうした状況を放置すれば、物流コストの上昇や配送品質の低下は避けられません。一方、物流効率化法を活用することで、国の支援を受けながらコスト削減・環境負荷の低減・業務効率の向上を一体的に進めることができます。

対応を先送りするほど、競合他社との差は広がります。まずは自社の物流課題を整理するところから始めてみてください。当社では、運行管理者の人手不足の解消や労働環境の改善を支援するクラウド型点呼システムの「Cagou IT点呼」を提供しています。お気軽にご相談ください。


 

Q&A

Q. 物流の2024年問題とは?

「2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の960時間上限規制と改正改善基準告示が適用され、労働時間が短くなることで輸送能力が不足し、「モノが運べなくなる」可能性が懸念されており、このことを「物流の2024年問題」と言われています。国の「持続可能な物流の実現に向けた検討会」では、2024年問題に対して何も対策を行わなかった場合には、営業用トラックの輸送能力が2024年には14.2%さらに2030年には34.1%不足すると試算しています。」

参照:全日本トラック協会「知っていますか?物流の2024年問題」

 

Q. 荷主企業が物流効率化に取り組むべき理由は何ですか?

経済産業省・農林水産省・国土交通省が策定したガイドラインでは、下記のとおり明記されています。

「物流の適正化・生産性向上について対策を講じなければ、2024年度には輸送能力が約14%不足し、さらに、このまま推移すれば2030年度には約34%不足する」「トラックドライバーの1運行あたりの荷待ち、荷役作業等にかかる時間が計約3時間」

参照:国土交通省「「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」を策定しました」

輸送力不足は物流事業者だけでなく、荷物を送る荷主企業にとっても「運んでもらえない」リスクに直結します。また、荷主側の取り組みによってトラックドライバーの1運行あたりの荷待ち、荷役作業等にかかる時間を「2時間以内とする」目標を掲げています。荷待ち時間の削減や積載率の向上など、荷主が主体的に動くことが運送コスト抑制に直結します。物流効率化は物流事業者任せにできる時代ではなく、荷主企業も当事者として対応が求められています。

 

Q. モーダルシフトとは具体的にどんなものですか?

「モーダルシフトとは、トラック等の自動車で行われている貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用へと転換することをいいます。現在では、環境負荷の低減は多くの企業で社会的責任(CSR)と位置付けて、商品の生産から廃棄にいたる全ての場面で取り組まれていますが、その中で輸送(物流)における環境負荷の低減にはモーダルシフトや輸配送の共同化、輸送網の集約等の物流効率化が有効です。その中でも、特にモーダルシフトは環境負荷の低減効果が大きい取り組みです。また、令和6年10月31日に開催された官民物流標準化懇談会 第6回「モーダルシフト推進・標準化分科会」において、従来のトラック輸送から鉄道と内航海運へのモーダルシフトに加えて、陸・海・空のあらゆる輸送モードを総動員して、トラックドライバー不足や物流網の障害などに対応するための「新たなモーダルシフトに向けた対応方策」をとりまとめ、多様な輸送モードも活用した新たなモーダルシフト(新モーダルシフト)の推進に取り組むこととしています。」

参照:国土交通省「モーダルシフトとは」

 

 

参考文献


 

関連リンク


Cagou IT点呼

                     Cagou IT点呼(点呼業務改革)

 

※本記事の記載内容は2026年3月現在のものとなります。
※本事例で記載されている会社名および製品名は、各社の商標または登録商標です。

 

 

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