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コアのとりくみ事例

CORE'S POWER

GNSS とりくみ事例
航空交通システムに必要なSBAS対応受信機を開発。
安全性の向上を求めて次世代システムの実証実験に参加し、
結果をフィードバックすることで国際標準規格の検証に貢献。
※GNSS(Global Navigation Satellite System / 全球測位衛星システム)は、米国のGPS、日本の準天頂衛星(QZSS)等の衛星測位システムの総称。(国土交通省 国土地理院HPより抜粋)
※SBAS:GPS信号の誤差や異常を地上で監視し、誤差補正情報や異常情報を静止軌道衛星により、航空機へ送信するシステムのこと。

国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 電子航法研究所

当社は数年にわたり、航空交通管理とそれを支える通信・航法及び監視技術からなる航空交通システムに関する唯一の研究機関である国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 電子航法研究所様より、受信機開発の案件をご用命いただいております。
同研究所 航法システム領域部門 坂井 丈泰様にお話を伺い、当社のGNSS技術がどのように航空交通システムに活用され、空の安全に役立っているのかをお話しいただきました。

 

国際標準規格の実証実験に必要な次世代SBAS対応受信機を 数少ない国内メーカーとして開発。 空の安全を裏で支える一翼を担う存在に。

お話をお伺いしたお客様

国立研究開発法人
海上・港湾・航空技術研究所 電子航法研究所
航法システム領域
上席研究員 坂井 丈泰

まずは坂井様の業務についてお聞かせください。

 国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 電子航法研究所で、電子航法に関する研究をしています。
SBAS(satellite-based augmentation system:静止衛星型補強システム)という、航空機のナビゲーションに使うシステムがあるのですが、それに関する研究を行っています。

SBASについて教えていただけますでしょうか。

 飛行機が飛ぶ際に、基本的にGPS信号を使用するのですが、稀にですがトラブルで異常な電波を出すなど、それだけでは飛行時に安全上の問題が発生します。そこで、衛星ベースの補強システムであるSBASを同時に使用することで、GPS信号に異常がないかなどの確認をしながらナビゲーションができるという仕組みになっています。

「SBASの機能」 坂井様ご提供資料より一部抜粋

受信機を当社が開発させていただいているということですが、どのようにその受信機を利用されているのでしょうか。

 先ほど説明したSBASは実用化されているのですが、複数周波数及び、複数コアシステムに対応した“次世代SBAS”となるDFMC SBAS(Dual-Frequency Multi-Constellation SBAS)は、国際標準規格ができたばかりです。日本では準天頂衛星を使用して次世代SBASの実証・検証が可能な環境にありますが、それに対応した受信機が存在しない状態です。
 わたしたちは、受信機がないと仕事が進まないので、それらの実証・検証に必要な受信機をコアさんに作ってもらっています。
 国内ではGPSの受信機を作っているメーカーがあまりありませんので、次世代SBAS受信機の試作機であるプロトタイプをコアさんにお願いしているという状況になります。

コアのGNSSの技術が
次世代航空システムの一翼を担う
 

飛行機が飛行する際のナビゲーションへの電離層の影響と衛星のトラブル防止対策のため「次世代SBAS」となるDFMC SBAS対応を進めています。今後も引き続き当所の研究活動に協力をお願いします。

坂井様談

新しいタイプのSBAS「次世代SBAS」であるDFMC SBASについてですが
現状のSBASに加え、それが必要となった背景をお伺いできますか。

 話が少し長くなってしまうのですが、従来のSBASを開発する過程で地球の上空にある電離層の影響によって、電波の進む速度がやや変化することが課題のひとつとなりました。それ自体は自然現象なのですが、昼と夜・季節・時間帯・場所などで様子が変わり、予測がしづらいという課題が見つかったのです。このような現状のSBASの課題をクリアするために次世代SBASの開発が始まりました。
 次世代SBASの特長は2つありまして、複数の周波数帯の信号を使用することにより、周波数帯によって電離層から受ける影響が異なる特性を利用し、電離層の影響を回避することができるようになるという「複数周波数」対応が一つ。
 そして、多くの衛星を使うことで予測できない衛星のトラブルに強くなるという「複数コアシステム」対応がもう一つです。
 当所では、こうした特徴をもつ次世代SBASについて、準天頂衛星を使用して実証実験を行ってきています。今年度は石垣島で実験用航空機による実験も予定しています。

航空交通システムの安全性の向上のため
地球の上空にある電離層の影響を回避する次世代SBASの開発が進む。

最後に、今後当社に期待していただいていることを教えていただけますでしょうか。

 今までは淡々と受信機を作ってきたのですが、ここにきて実験機に受信機を搭載しての実験活動ができるようになってきました。次世代SBASについては、さらに認証機能などの付加が議論されています。受信機のアップグレードも必要になると思いますので、引き続き当所の研究活動にご協力をお願いします。

ありがとうございました。

 

SBASと当社の関わり

 

 

電子航法研究所様と共同で実施している受信機開発に関する発表を行うなど、当社のSBASに関する技術を日本国内に留まらず、海外に対しても情報の発信や提供をしており、 SBASの技術発展や普及の一助を担う活動をしています。

 今回貴重なお話を坂井様にお伺いし、当社の先端技術がどのように社会に貢献しているのかを具体的に知ることができました。
 この他にも当社のGNSSソリューションビジネスセンター ソリューション開発担当 樋口がアメリカで開催されている学会(Institute of Navigation)において、電子航法研究所様と共同で実施している受信機開発に関する発表を行うなど、当社のSBASに関する技術を日本国内に留まらず、海外に対しても情報の発信や提供をしており、SBASの技術発展や普及の一助を担う活動をしています。

GNSSソリューションビジネスセンター
ソリューション開発担当
樋口 志樹

発表情報
Development of DFMC SBAS Receiver Supporting QZSS L5S Signals
開催組織名:Institute of Navigation (ION)
大会名:ION GNSS+ 2020
発表日:2020年9月23日(水) B2: GNSS Augmentation Systems and Integrity 1
発表者:樋口 志樹

 

お客様プロフィール


本社 東京都調布市深大寺東町7丁目42番23号
設立 昭和42年7月10日
事業内容 電子航法研究所は、日々進歩を続ける電子航法について、 航法技術の開発、機器の試作、評価試験などを行うことにより、交通の安全の確保とその円滑化を図ることを目的としています。
URL https://www.enri.go.jp

 

関連リンク


 

貢献するSDGsゴール目標


 

※掲載内容は、2021年8月取材時のものとなります。

 

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