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  • 【2026/8/7】ドローン研究の第一人者 野波健蔵先生インタビュー動画公開
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Interview

 

みちびき打ち上げ特別企画 有識者インタビュー

feature

 

NICT様インタビュー

みちびき7機体制がもたらす精密のその先へ


井戸 哲也 室長

情報通信研究機構 電磁波研究所
電磁波標準研究センター 時空標準研究室 室長

株式会社コア (インタビュアー)

宇宙テックソリューションビジネスセンター
常務執行役員 センター長

山本 享弘

宇宙テックソリューションビジネスセンター
宇宙テックソリューション部
技師

荒木 秀彦

インタビュー写真①

2018年から4機体制でサービスを開始した準天頂衛星システム「みちびき」。2026年度には、ついに7機体制での運用がスタートしようとしています。
今回は、みちびき7号機の役割と、それを活用した高精度時刻同期技術について、NICT 時空標準研究室の井戸室長にお話を伺いました。
私たちの日常を支える「時刻」。その裏側でどのような技術と挑戦が行われているのか、詳しくご紹介します。

みちびき7機体制がもたらす精密のその先へ

インタビュー写真②

2018年から4機体制でサービスを開始した準天頂衛星システム「みちびき」。2026年度には、ついに7機体制での運用がスタートしようとしています。
今回は、みちびき7号機の役割と、それを活用した高精度時刻同期技術について、NICT 時空標準研究室の井戸室長にお話を伺いました。
私たちの日常を支える「時刻」。その裏側でどのような技術と挑戦が行われているのか、詳しくご紹介します。

Profile

井戸 哲也 室長

井戸 哲也 室長

情報通信研究機構 電磁波研究所
電磁波標準研究センター 時空標準研究室 室長

1998年 科学技術振興機構ERATO五神共同励起プロジェクト 研究員
2002年 JILA(米国) Research Associate
2006年 情報通信研究機構 入社
2006年~ 日本標準時での活用を見据えて、ストロンチウム光格子時計システムの立ち上げを開始
2021年 ストロンチウム光格子時計の日本標準時での活用を開始
山本 享弘

山本 享弘

株式会社コア 宇宙テックソリューションビジネスセンター
常務執行役員 センター長

2005年 株式会社コアに入社
2016年~ 準天頂衛星みちびきを含む宇宙テックソリューションの研究開発に従事
荒木 秀彦

荒木 秀彦

株式会社コア 宇宙テックソリューションビジネスセンター
宇宙テックソリューション部 技師

2020年 株式会社コアに入社
2020年~ GNSSを中心に、宇宙関連技術を活用したソリューションの研究開発に従事
井戸 哲也 氏

井戸 哲也 室長

情報通信研究機構 電磁波研究所
電磁波標準研究センター 時空標準研究室 室長

1998年 科学技術振興機構ERATO五神共同励起プロジェクト 研究員
2002年 JILA(米国) Research Associate
2006年 情報通信研究機構 入社
2006年 日本標準時での活用を見据えて、ストロンチウム光格子時計システムの立ち上げを開始
2021年 ストロンチウム光格子時計の日本標準時での活用を開始
山本 享弘

山本 享弘

株式会社コア 宇宙テックソリューションビジネスセンター
常務執行役員 センター長

2005年 株式会社コアに入社
2016年~ 準天頂衛星みちびきを含む宇宙テックソリューションの研究開発に従事
荒木 秀彦

荒木 秀彦

株式会社コア 宇宙テックソリューションビジネスセンター
宇宙テックソリューション部 技師

2020年 株式会社コアに入社
2020年~ GNSSを中心に、宇宙関連技術を活用したソリューションの研究開発に従事

Q1

時空標準研究室の役割をお聞かせください

井戸室長:

時空標準研究室では、皆様がお使いになっている日本標準時――日本の時刻の基準となる原子時計を運用し、そこで作られた時刻を電波時計や光電話回線などを通じて皆様にお届けしています。しかしながら、私たちは時刻を配信するだけではありません。その基準となる「1秒間」を正確につくり出すための研究も行っています。この1秒を極めて正確に定義することで、日本の時刻だけでなく、世界の時刻を刻む仕組みにも貢献している研究室になります。

インタビュー写真③

Q2

私たちの生活における時刻の重要性をお聞かせください

井戸室長:

時刻の重要性というのは、普段の生活の中では意識しないかもしれませんが、実はさまざまな場面で感じることがあると思います。
まず、待ち合わせをするときです。「何時何分にどこで」と決めて集まるからこそ会えるわけです。最近はスマホで「今ここにいるよ」と簡単に共有できてしまうので、決めた時間に集まるという意識が薄れているかもしれませんが、こうした技術がなかった時代は、正確な時刻がなければそもそも待ち合わせが成立しませんでした。これは分かりやすい時刻の重要性の一つです。

また、電車の運行も時刻が共有されていなければ、衝突や事故につながる可能性があります。電車の例でいえば「1秒ずれたくらいなら大丈夫なのでは?」と感じる方もいるかもしれません。しかし、現代社会の多くの仕組みは、もっと厳密な時刻の同期の上に成り立っています。例えば金融取引、モバイル通信、さらには電力の切り替えなど、これらは全て「同じ時刻を共有する」ことで正しく動作しています。社会全体を支える大きな仕組みが、共通の時刻を基準に動いているわけです。そのため時刻というものは、ガス・水道・電気といったライフラインと同じように、インフラなっていると言えます。

インタビュー写真④

山本:

後ろに装置がありますが、これはどういった役割を果たしているのでしょうか?

井戸室長:

こちらは、私たちが「計測室」と呼んでいる場所につながっており、この部屋の奥に原器室と言いまして、複数台の原子時計が置いてあります。20台近くの原子時計があり、その原子時計からの信号がここに集められ、この装置で合成されて標準時が作られます。つまり標準時というのは、ひとつの時計だけに依存するのではなく、複数の原子時計の共同作業によって作られているわけです。そのため、1台が故障したり、停止しても問題なく時刻を刻み続けることができます。
この「時刻を合成する部分」を担っているのが、この装置です。その合成の結果として右側に標準時としての時刻が出力される、という仕組みになっています。

インタビュー写真④
 
 

Q3

時空標準研究室の取り組みについてお聞かせください

井戸室長:

時空標準研究室では、まず第一に日本標準時を作っています。この奥の複数の部屋に20台近くの原子時計があり、これらを24時間365日運用しています。これらの時計の平均をとることで標準時を作り、それを皆様にお届けしています。お届けする方法として、皆様が一番親しみがあるのは電波時計でしょうか。我々はこれを「標準電波(コールサインはJJY)」と呼んでいます。

インタビュー写真⑤

また、電波時計だけでなく、光電話回線などを通じて国民の皆様に日本標準時をお届けしています。
この日本標準時を維持するためには、「正確な1秒」を手に持っていなければなりません。原子時計は非常に正確とはいえ、13桁目くらいからはわずかにずれが出てきてしまいます。そのため自分たちで光格子時計を開発し、2021年からは日本標準時の1秒が本当に正しい1秒であるかを、16桁程度の精度で確認し、その正しい1秒に基づいて標準時を刻んでいます。
さらに、日本の時刻が世界の時刻と合っていなければなりません。そのためにGNSSの測位衛星の時間伝送機能や双方向通信衛星を用いて、世界の時刻ともきちんと同期を取っています。これらは日本標準時インフラとしての技術ですが、こうした技術を皆様のお手元でも使っていただけるような研究も進めています。例えば、原子時計を小型化したり、携帯電話や無線機器同士で時刻を正確に同期させる技術の研究です。また、日本標準時が複数の原子時計で安定した時刻を刻んでいるのと同じように、多数の機器の時計を総合的に合わせ、そのコミュニティ内で正確で安定した時刻を作るアルゴリズムの開発なども行っています。

そして最後にもう一つ。1秒の長さの「定義を決める」という国際的な議論にも参加しています。
実は今、1秒の定義をセシウム原子から別の原子に変える検討が世界で進んでいますが、私たちはそうした場にも参加し、「どの方式が良いのか」という議論に加わっています。
さらにもっと先の話ですが、「月でどのような時刻を使うか」という議論もすでに始まっています。世界中の機関、もちろんJAXAさんも参加されていますが、月で活動する際にどんな時刻が便利なのか、そうした議論にも参加しています。
以上のような活動を行っている研究室になります。

インタビュー資料①

Q4

みちびきと時刻の関係や時刻同期精度の重要性についてお聞かせください

井戸室長:

皆さんは GPS や準天頂衛星というと、「位置を出すためのもの」「測位のためのもの」と理解されていると思います。
しかし、その位置情報が出せるのは、衛星に非常に良い時計――原子時計――が載っているからです。届く電波の到達時間を測ることで距離を求めるわけです。準天頂衛星には原子時計が搭載されており、準天頂衛星はそのシステムの中で自分たちの時刻を持っています。ただし、協定世界時(UTC)という世界の標準時刻とのリンクは、NICTを介さないと取れないという仕組みになっています。

インタビュー写真⑥

そのため、準天頂衛星みちびきはNI​CTが作るUTC準拠の時刻「UTC(NICT)」と、自分たちの時計がどれだけずれているかを放送しています。別の言い方をすると、みちびきは「NICTが作った日本標準時のこのタイミングが正しいですよ」という情報を知らせてくれているとも言えます。そういう意味で準天頂衛星システムとNICTは、お互いに相互依存の関係にあると言えるわけです。
さらに、準天頂衛星は位置を出すだけでなく、時刻同期にも利用できます。非常に正確なタイミングを得ることができ、自分の時計が日本標準時からどれだけずれているかも測ることができます。
時刻を正確に取ることは非常に重要です。先ほど少し触れましたが、たとえば金融取引では、高速取引において「どちらが先に注文を出したか」を正確に記録しなければなりません。現状ではナノ秒レベルまでは求められていないと理解していますが、いずれはナノ秒単位の正確な時刻を持っていなければ取引できない時代が来るかもしれません。金融取引だけではなく、モバイル通信の基地局なども、衛星から正しい時刻を取得することで動いています。時刻は目に見えませんが、極めて重要であり、皆が同じ時刻を共有して初めて社会が成り立ちます。
この「同じ時刻を持つこと」が、いわゆる同期の重要性です。そして、ナノ秒が最も効いてくる分野はやはり測位だと考えています。電波は光速で進みますので、1ナノ秒のズレは距離にすると約30センチの誤差になります。センチメートル級の測位を実現するには、1ナノ秒の誤差も許されないということになります。

インタビュー資料②

Q5

コアが取り組む宇宙テックソリューションについてお聞かせください

山本:

私たちは、準天頂衛星みちびきをはじめとした宇宙技術を活用したソリューションの開発に取り組んでおります。その一つが、高精度時刻同期を活用したソリューションです。GNSS測位では位置を計算するとともに、時刻の計算も行っています。位置の精度を光の速度で割ったものが、時刻の精度になります。一般的にスマートフォンやカーナビゲーションのGPS/GNSSでは、測位精度は数メートル程度で、時刻に換算すると数ナノ秒の精度になります。
一方、準天頂衛星みちびきが提供するセンチメートル級測位サービス「MADOCA-PPP」を使用すると、サブメーター級の測位精度が得られ、時刻に換算すると数百ピコ秒という高精度を実現できます。しかしながら、この数百ピコ秒という精度を評価して証明することは非常に難しいのです。なぜかというと、我々が通常使用する時計は精度が悪いからです。そこで、NICT様にご支援いただき、先ほどご紹介のあった高精度な時計を用いて、当社が開発したMADOCA-DOの時刻精度を評価しました。その結果、数百ピコ秒の精度が確かに出ていることを確認することができました。
今後は、この高精度時刻同期を活かしたソリューションの開発に取り組んでいきたいと考えております。

インタビュー写真⑦

Q6

MADOCA-DOの開発で苦労された点や感想をお聞かせください

荒木:

私は、MADOCA-DOのクロックのずれをMADOCA-PPPを用いて校正する制御ソフトウェアの開発を担当いたしました。
まず、苦労した点についてです。制御の仕組み自体は比較的単純で、地上局によってコントロールされた安定した衛星システム時刻と、MADOCA-DOのクロックの時刻のずれをMADOCA-PPPで数百ピコ秒という精度で計測し、そのずれを小さくする方向にMADOCA-DOのクロックを制御する、というものです。仕組み自体はシンプルなのですが、実際にアルゴリズムを構築するとなると、細かな状態遷移の設計や、ハードウェア的な制約を考慮しなければならず大変でした。また、うまくできたと思って長時間の動作試験を行うと、熱暴走が発生してクロックが不安定になったり、新しい問題が次々に出てくるという繰り返しで、安定した動作を実現するまでに時間を要しました。
このようにさまざまな課題がありましたが、最終的に数百ピコ秒という時刻同期精度を実現できたときは、非常に嬉しく、大きな達成感を味わうことができました。

最後に、開発を振り返っての感想です。私はまだ入社して年数が浅く、技術者として未熟な部分も多いのですが、今回のように検討と検証を繰り返すダイナミックな開発経験を積むことができ、技術者として大きく成長させていただいたと感じています。また、日本標準時との時刻比較や、学会発表も経験させていただき、非常に充実した時間を過ごすことができました。

インタビュー写真⑧

Q7

視聴者の皆様へのメッセージ、測位技術の今後の進化についてお聞かせください

井戸室長:

今は「測位といえばGPS、GNSS」というイメージが強いかと思います。しかし残念ながらGNSSは、例えば部屋の中では電波が届かないため位置を出せませんし、GNSSを使って屋内で正しい時刻を得ることもできません。トンネルの中も同じです。ただ、トンネルもまっすぐ掘りたいというニーズはあります。そういった意味で、GNSSが届かない場所でも位置を求める技術というものが、これからますます求められていくと考えています。
もう一つ重要なのが、工場内での測位です。これからはAIや人型ロボットが工場の中で動き回り、作業を行う時代が来るかもしれません。これも測位ができてこそ成り立ちます。自分の位置、相手の位置が正確に分かるからこそ、例えばロボット同士が一緒に荷物を持つといった協調作業が実現できます。位置が出ていないとタイミングも合わず、ぶつかってしまう危険もあります。
つまりこれからの測位技術は、

“届かないところに届く”測位へ広がっていくこと
屋外でも、環境が悪い場所でも、より高精度に位置を出す方向へ進化していくこと

この2つが大きな方向性になると考えています。また、GNSSが届かないところ、反射が多い環境や、衛星が見えにくい場所でも、いかに位置を出していくかという課題にも広がっていくはずです。
最後に、時空標準研究室の活動で、皆様のお手元に時刻を届けると申し上げましたが、部屋の中でも高精度な位置が出せるそんな未来を私は夢見ているところです。

インタビュー写真⑨

山本:

このたびNICT様のご協力を得て、高精度時刻同期の受信機を開発いたしました。このMADOCA-DOにつきましては、今後、低軌道衛星などでの活用が期待できるのではないかと考えております。低軌道衛星は、昨今打ち上げが進んでおり、地球低軌道に小型で低価格の衛星を多数配備するという取り組みが広がっています。
一方、従来の衛星には、先ほどのお話にもあったような高価な原子時計が搭載されており、これで時刻を計測しています。そこに、準天頂衛星みちびきを活用した受信機を搭載することで、低コストに衛星の位置や時刻を計測することが可能になります。こうした 多様な活用シーン を見据えながら、社会課題を解決するソリューションの開発に取り組んでいきたいと考えております

インタビュー写真⑤

荒木:

私からは、学生の方へのメッセージになります。もし宇宙テックにご興味がある方がいらっしゃいましたら、今回ご紹介したMADOCA-DOの開発のように、やりがいのある仕事に一緒にチャレンジできればと思っております。

インタビュー写真⑤
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ドローン研究の第一人者
野波 健蔵 先生インタビュー

みちびきの新体制が拓くドローンの未来


野波 健蔵 先生

千葉大学 名誉教授
一般社団法人 日本ドローンコンソーシアム 会長
一般財団法人 先端ロボティクス財団 理事長
株式会社Autonomy 代表取締役CEO
福島国際研究教育機構(F-REI)ロボット・ドローン分野長

株式会社コア (インタビュアー)

山本 享弘

宇宙テックソリューションビジネスセンター
常務執行役員 センター長

最上谷 真仁
宇宙テックソリューションビジネスセンター
宇宙テックソリューション部 部長

インタビュー写真①

みちびきの新体制に向け、2026年8月11日に7号機の打ち上げが成功しました。
今回は、みちびきインタビュー企画の第2弾として、日本ドローンコンソーシアム会長・野波健蔵先生に、みちびきの新体制がもたらすドローンの未来についてお話を伺いました。
 

みちびきの新体制が拓くドローンの未来

インタビュー写真②

今回は、みちびきインタビュー企画の第2弾として、日本ドローンコンソーシアム会長・野波健蔵先生に、みちびきの新体制がもたらすドローンの未来についてお話を伺いました。

 

Profile

野波 健蔵 氏

野波 健蔵 先生

一般社団法人 日本ドローンコンソーシアム会長(代表理事)

1979年 東京都立大学大学院博士課程修了 工学博士
1985年~1988年 米航空宇宙局(NASA)研究員、シニア研究員
1988年 千葉大学助教授
1994年 千葉大学教授
2001年 10㎏クラス小型無人ヘリコプターの完全自律制御に日本で初めて成功する
2008年 千葉大学理事・副学長(研究担当)
2012年 ミニサーベイヤーコンソーシアム会長
2013年 大学発ベンチャー「(株)自律制御システム研究所(ACSL)」を創業し代表取締役CEO
2014年 千葉大学特別教授(千葉大学名誉教授)
2017年 一般社団法人日本ドローンコンソーシアム会長
2018年 ACSL取締役会長
2019年 一般財団法人先端ロボティクス財団を設立し理事長
2022年 2つ目の会社(株)Autonomyを創業
2023年 福島国際研究教育機構(F-REI)ロボット・ドローン分野長を務める
山本 享弘

山本 享弘

株式会社コア 宇宙テックソリューションビジネスセンター
常務執行役員 センター長

2005年 株式会社コアに入社
2016年~ 準天頂衛星みちびきを含む宇宙テックソリューションの研究開発に従事
最上谷 真仁

最上谷 真仁

株式会社コア 宇宙テックソリューションビジネスセンター
宇宙テックソリューション部 部長

2005年 株式会社コアに入社
2005年~ GNSS開発を主とし、宇宙テックソリューションの研究開発に従事
野波 健蔵 氏

野波 健蔵 氏

一般社団法人 日本ドローンコンソーシアム会長(代表理事)

1979年 東京都立大学大学院博士課程修了 工学博士
1985年~1988年 米航空宇宙局(NASA)研究員、シニア研究員
1988年 千葉大学助教授
1994年 千葉大学教授
2001年 10㎏クラス小型無人ヘリコプターの完全自律制御に日本で初めて成功する
2008年 千葉大学理事・副学長(研究担当)
2012年 ミニサーベイヤーコンソーシアム会長
2013年 大学発ベンチャー「(株)自律制御システム研究所(ACSL)」を創業し代表取締役CEO
2014年 千葉大学特別教授(千葉大学名誉教授)
2017年 一般社団法人日本ドローンコンソーシアム会長
2019年 一般財団法人先端ロボティクス財団を設立し理事長
2022年 2つ目の会社(株)Autonomyを創業
2023年 福島国際研究教育機構(F-REI)ロボット・ドローン分野長を務める
山本 享弘

山本 享弘

株式会社コア 宇宙テックソリューションビジネスセンター
常務執行役員 センター長

2005年 株式会社コアに入社
2016年~ 準天頂衛星みちびきを含む宇宙テックソリューションの研究開発に従事
最上谷 真仁

最上谷 真仁

株式会社コア 宇宙テックソリューションビジネスセンター
宇宙テックソリューション部 部長

2005年 株式会社コアに入社
2005年~ GNSS開発を主とし、宇宙テックソリューションの研究開発に従事

Q1

みちびき受信機を搭載したドローンの取り組みや今後の計画について教えてください

野波先生:

私は現在、F-REI(福島国際研究教育機構)という国の研究機関で活動しています。
私自身はドローン分野の分野長として、災害対応ドローン、特に高精度測位を実装したドローンの開発に力を入れています。構想としては、10機から20機のドローンを同時に運用し、1人のオペレーターで複数機を制御する仕組みを目指しています。今後は、10機を同時に飛行させる計画で準備を進めています。
災害対応では広域を迅速に把握する必要があり、1機だけでは対応が難しいため、複数機で同時に飛行しオルソ画像※1を生成して一枚の大きな地図を作成することを目指しています。
こうした取り組みは世界的にもまだ前例がなく、日本が先駆けになると考えています。精度は誤差5センチ程度を想定しおり、みちびきの新体制には大きな期待を寄せています。
これまでは、海外の衛星システムに頼らざるを得ませんでしたが、準天頂衛星システムが整備されることで、従来のGNSSと組み合わせながら高精度測位を実現し、災害対応やアジア地域の広域カバーに貢献できると期待しています。

インタビュー写真③

Q2

準天頂衛星みちびきの高精度測位がドローン業界に与える影響について教えてください

野波先生:

先ほどお話しした複数機の同時飛行についてですが、従来の測位精度では安全のため10メートル程度の間隔を空ける必要がありました。しかし、準天頂衛星のみちびきによるCLASレベルの精度が実現すれば、5メートル間隔での飛行も可能になると考えています。
例えば、オルソ画像の生成では「オーバーラップ率※2」が重要です。ドローン同士の距離が近いほど、画像の重なりが増え、収差を補正しやすくなり、より高精度な地図を作成できます。我々の試算では、こうした技術を活用することで、1キロ四方のエリアを従来より5倍から10倍の速さでカバーできる見込みです。
災害対応を例に挙げると、能登半島地震のような広域災害でも、人命救助が求められるエリアは比較的狭く、1キロ四方程度に集中しているケースが多いです。そこで、発災後30分から1時間以内に、誤差5センチレベルの地図を作成することを目指しています。
これが実現すれば、被災地で人がいる可能性の高い場所を迅速に把握できますし、最近注目されている「デジタルツイン」技術との連携やAI技術との組み合わせにより、複合的な進化が期待できる分野だと考えています。

インタビュー写真④
 
 

Q3

みちびきの信号認証機能の意義についてお聞かせください

最上谷:

昨今、GNSSを欺瞞する技術が増えてきています。
その中で、準天頂衛星みちびきでは「信号認証」サービスによって、衛星からの信号が正しいことを証明し、位置情報の信頼性を担保する技術が進んでいます。ドローンの制御においても、位置情報の信頼性は非常に重要だと思いますが、野波先生はこの点をどのようにお考えでしょうか?

インタビュー写真⑤

野波先生:

ドローンは制御のほとんどを電波に依存しています。
衛星からの電波を受信して自己位置を推定したり、地上からのコマンドで経路を変更したりと、基本的に99%は電波を使って制御しています。完全自律飛行で電波を使わない方法も理論上はありますが、一般的にはほぼ電波頼みです。しかし、電波は非常にハイリスクで、ジャミング(妨害)、ハッキング、スプーフィング(なりすまし)などの脅威が現実に起きており、こうしたリスクを低減する準天頂衛星みちびきの信号認証機能は非常に有望です。
高度なセキュリティを備えたシステムであれば、ドローンの位置情報の信頼性が飛躍的に向上し、利用者も安心して導入できるでしょう。我々もこの技術には大きな期待を寄せています。

インタビュー写真⑤

Q4

株式会社コアが提供しているソリューションや受信機への感想や評価をお伺いさせてください

野波先生:

コアの受信機は何台か購入し、実際に利用しています。
他社製品との比較も行いましたが、非常にリーズナブルな価格で高精度な測位を実現している点は大きな強みだと思います。この分野は競争が激しいと思いますが、コアの製品はコンパクトで軽量、操作性も良く実装しやすいという点も優れており、現時点で問題を感じたことはありません。
将来的な展開として、オルソ画像の生成をサポートするアプリケーションまで拡張するといった取り組みも一つの有望なビジネスモデルになるのではないかと考えています。

インタビュー写真⑥

Q5

GNSSソリューションから宇宙テックソリューションへの転換理由

山本:

この春、弊社はGNSSソリューションから宇宙テックソリューションへと軸足を移しました。
これまでも、準天頂衛星みちびきをはじめとする測位技術を活用し、社会課題を解決するソリューションを開発してきました。従来は「GNSSソリューション」と呼んでいましたが、取り組みを進める中で、地上での測位技術だけでは解決できない課題があることが分かってきました。
こうした背景から、GNSSソリューションに加え、より広範な技術を組み合わせて拡張する方針を含め「宇宙テックソリューション」という名称にしました。
これにより、社会課題の解決の幅をさらに広げていきたいと考えています。

インタビュー写真⑦

Q6

ドローンソリューションの取り組みとみちびき新体制の効果について

最上谷:

通常、ドローンで精密飛行や測量などのセンシングを行う際には、インターネットに接続し、RTKなどのサービスを利用して高精度な位置情報や時間情報を取得するのが一般的です。
しかし、我々のドローンソリューションは、準天頂衛星みちびきが提供する高精度測位補強サービス「CLAS」に対応しており、インターネット接続なしで高精度な位置情報・時間情報を取得できます。これは、山間部の砂防ダム施設や、災害発生時にインターネットが使えなくなる状況で大きな強みとなります。実際、令和6年の能登半島地震ではインターネットがダウンする事態が発生しましたが、その後、建設コンサルタント様と現地でCLASの有効性を検証する実証実験を行いました。
このように、我々のソリューションは平時だけでなく、有事にも場所を選ばず活用できる点が特徴です。さらに、今後みちびきが新体制になることで、CLASの安定性が一層向上し、お客様により信頼性の高いサービスを提供できると考えています。

インタビュー写真⑧

Q7

みちびき新体制を受けた今後の取り組み方針についてお聞かせください

野波先生:

これまで4機体制で運用されてきましたが、その段階でもみちびきのメリットは大きく、積極的に活用してきました。みちびきが登場する前は、ディファレンシャルGPSを使い、地上に補正局を設置していましたが、2018年頃に4機体制となってから、ドローン分野は劇的に変化しました。
数センチレベルの誤差で飛行できることが当たり前になり、測量、農業、災害対応など、さまざまな分野でセンチメーター級の測位が標準となっています。精度向上により、3Dマップやオルソ画像の生成など、新しいソフトウェアや技術が次々と登場し、イノベーションのきっかけとなっています。
みちびきは日本にとって大きな恩恵をもたらすシステムですが、現状ではまだGNSSとの併用が必要です。しかし、みちびきの新体制が実現すれば、GNSSに依存しない時代が来る可能性もあります。
特に、インフラ点検などでは、壁から5メートル程度離して飛行するのが安全とされていますが、新体制になれば、より近距離での安全な飛行が可能になるでしょう。また、垂直方向の測位についても気圧センサーに頼らず、衛星による鉛直測位が実現できると期待しています。
みちびきの新体制によって、ドローンの社会実装はさらに加速し、世界が大きく変わると確信しています。

インタビュー写真⑨

Q8

宇宙テックソリューションとしての今後の取り組み方針

山本:

先ほど、GNSSソリューションから宇宙テックソリューションへの拡張についてお話ししましたが、その拡張には「横方向」と「縦方向」の2つのアプローチがあります。
横方向の拡張では、みちびきによる測位技術を中心に、他の技術との組み合わせを進めます。宇宙から地上に提供されるサービスには、測位だけでなくリモートセンシングや衛星通信があります。また、AIやセンサーなど、宇宙以外の技術も急速に進化しています。こうした技術を組み合わせることで、社会課題の解決の幅を広げていきたいと考えています。
縦方向の拡張では、地上の測位にとどまらず、宇宙開発にも取り組みます。
近年、米国のスタートアップ企業を中心に、低軌道に多数の小型・低価格衛星を打ち上げるプロジェクトが進んでいます。低軌道衛星は、宇宙専業企業でなくても参入できる環境が整いつつあり、民間技術の活用が可能になっています。弊社もこうした流れを踏まえ、宇宙開発に挑戦できると考えています。

さらに、低軌道衛星の位置を把握するためには、測位技術が不可欠です。準天頂衛星みちびきやGPSなどの中軌道衛星を活用し、低軌道衛星の測位を行う技術も重要になってきますが、これまで培ってきた測位技術を宇宙分野にも応用できると考えています。
また、みちびきが新体制になることで、センチメーター級測位補強サービス「MADOCA-PPP」や信号捕捉率の向上といった効果が期待できます。こうした恩恵を最大限に活かし、みちびき技術とAI・センサーなどの地上技術を組み合わせ、社会課題の解決にさらに貢献していきたいと考えています。
 

インタビュー写真⑧

Q9

ドローンソリューションとしての今後の取り組み方針

最上谷:

先ほど野波先生からもご提案がありましたが、私たちもドローンで取得した膨大なデータを「空間情報」として効率的に扱えるプラットフォームの提供に力を入れていきたいと考えています。
ドローンの普及により、写真、温度データ、3次元点群データなどが手軽に取得できる環境が整いつつありますが、お客様からは「膨大なデータを効率的に管理したい」「もっと効果的に活用したい」という声を多くいただいています。
そこで、みちびきによる高精度な位置情報・時間情報を付与したデータを、時空間情報として一元管理できるプラットフォーム『ChronoSky 3D』を開発しています。
ChronoSky 3Dでは、情報を位置と時間に紐付けて管理することで、効率的なデータ活用と3次元データの時間的な分析を実現します。データ量が増えることで処理負荷が高まる課題についても、当社独自技術で高速化を図っています。
このプラットフォームを通じて、インフラ点検や大規模施設のメンテナンス業務などでドローンで取得したデータを効率的に活用できる環境を提供していきたいと考えています。
 

インタビュー写真⑨
3次元施設管理プラットフォーム説明図
最適な粒度で情報を管理し圧縮説明

Q10

準天頂衛星みちびきやコアへの今後の期待について、一言いただけますでしょうか

野波先生:

従来の測位技術に加え、今後は「デジタルツイン」が非常に重要になると考えています。デジタルツインとは、物理空間とサイバー空間を融合させる技術です。ドローンだけで全ての情報を取得することはできませんが、取得したデータを国土地理院の地図など既存情報と組み合わせ、コンピュータ上に3次元空間を構築し、そこにドローンのデータを貼り付けていくことで、より高度な情報活用が可能になります。
また、ドローンだけでなく、地上ロボットの活用も進むでしょう。
例えば、『Spot』のようなロボットが準天頂衛星を利用して屋外で測位するようになれば、新しい世界が広がります。さらに、普及のためにはコスト低減が不可欠です。量産によって価格を下げ、より多くのユーザーが利用できる環境を整えていただきたいと強く願っています。私たちF-REIでも、準天頂衛星の測位技術を地上ロボットやリアルロボットに積極的に実装していく予定ですので、今後ともぜひご協力をお願いしたいと思います。

インタビュー写真⑩

※1 オルソ画像とは

空中写真に含まれる位置ズレや傾きを補正し、地図のように真上から見た正しい位置と形状に変換した画像のことです。
これにより、距離や面積を正確に測定でき、GISなどで地図データと重ねて利用できます。

※2 オーバーラップ率とは

オーバーラップ率とは、連続して撮影された写真がどの程度重なっているかを示す割合です。
ドローン測量などで3次元データを作成する際に重要で、重なりが不足するとデータが歪む原因になります。

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JAXA様インタビュー

JAXAが語る みちびき7機体制で実現する高精度測位サービスの将来像


宇宙航空研究開発機構(JAXA)

衛星測位技術統括 兼 衛星測位システム技術ユニット長
小暮 聡 氏

高精度測位システムプロジェクトチーム プロジェクトマネージャ
松本 暁洋 氏

高精度測位システムプロジェクトチーム サブマネージャ
明神 絵里花 氏

株式会社コア (インタビュアー)

GNSSソリューションビジネスセンター 常務執行役員 センター長
山本 享弘

インタビュー写真①

2018年から4機体制でサービスを開始した準天頂衛星システム「みちびき」。
2025年2月2日の6号機打ち上げ成功を皮切りに、2025年度中には5号機・7号機の打ち上げが予定されており、
2026年度には7機体制でのサービスが始まります。
今回はみちびきに搭載される高精度測位システムの開発を担当するJAXA様に、みちびきに新たに搭載した機能やサービス、測位精度の向上がもたらす将来についてお話を伺いました。

位置を価値へ

JAXAが語る みちびき7機体制で実現する高精度測位サービスの将来像

インタビュー写真②

2018年から4機体制でサービスを開始した準天頂衛星システム「みちびき」。
2025年2月2日の6号機打ち上げ成功を皮切りに、2025年度中には5号機・7号機の打ち上げが予定されており、
2026年度には7機体制でのサービスが始まります。
今回はみちびきに搭載される高精度測位システムの開発を担当するJAXA様に、みちびきに新たに搭載した機能やサービス、測位精度の向上がもたらす将来についてお話を伺いました。

Profile

小暮 聡 氏

小暮 聡 氏

宇宙航空研究開発機構 第一宇宙技術部門
衛星測位技術統括 兼 衛星測位システム技術ユニット長

1993年 宇宙開発事業団に入社
2001年 準天頂衛星システムの概念検討に参画し、みちびき初号機の開発、実証、MADOCAの研究開発に従事
2016年~2021年 内閣府準天頂衛星システム戦略室室長代理として4機体制整備、サービス性能向上を推進
JAXAに復職後、現職にて衛星測位システム関連技術の研究開発を統括
松本 暁洋 氏

松本 暁洋 氏

宇宙航空研究開発機構 第一宇宙技術部門
高精度測位システムプロジェクトチーム プロジェクトマネージャ

1996年 宇宙開発事業団に入社
1999年 陸域観測技術衛星(だいち)の開発に従事して以降、衛星開発業務を中心に従事
2006年~2009年 準天頂衛星初号機開発に従事
2014年~2018年 内閣府宇宙開発戦略事務局準天頂衛星システム戦略室企画官として、準天頂衛星2,3,4号機および初号機後継機開発整備の取り纏めを推進 JAXAに復職後、2019年4月より現職
明神 絵里花 氏

明神 絵里花 氏

宇宙航空研究開発機構 第一宇宙技術部門
高精度測位システムプロジェクトチーム サブマネージャ

2003年 宇宙開発事業団に入社
2007年~ 準天頂衛星初号機の開発プロジェクトに参画し、以降準天頂衛星関係の業務に従事
現在は5~7号機向け高精度測位システムの開発を終え、実証運用準備および将来測位技術の研究開発を実施
山本 享弘

山本 享弘

株式会社コア GNSSソリューションビジネスセンター
常務執行役員 センター長

2005年 株式会社コアに入社
2016年~ 準天頂衛星みちびきを含むGNSSソリューションの研究開発に従事
小暮 聡 氏

小暮 聡 氏

宇宙航空研究開発機構 第一宇宙技術部門
衛星測位技術統括 兼 衛星測位システム技術ユニット長

1993年 宇宙開発事業団に入社
2001年 準天頂衛星システムの概念検討に参画し、みちびき初号機の開発、実証、MADOCAの研究開発に従事
2016年~2021年 内閣府準天頂衛星システム戦略室室長代理として4機体制整備、サービス性能向上を推進
JAXAに復職後、現職にて衛星測位システム関連技術の研究開発を統括
松本 暁洋 氏

松本 暁洋 氏

宇宙航空研究開発機構 第一宇宙技術部門
高精度測位システムプロジェクトチーム プロジェクトマネージャ

1996年 宇宙開発事業団に入社
1999年 陸域観測技術衛星(だいち)の開発に従事して以降、衛星開発業務を中心に従事
2006年~2009年 準天頂衛星初号機開発に従事
2014年~2018年 内閣府宇宙開発戦略事務局準天頂衛星システム戦略室企画官として、準天頂衛星2,3,4号機および初号機後継機開発整備の取り纏めを推進 JAXAに復職後、2019年4月より現職
明神 絵里花 氏

明神 絵里花 氏

宇宙航空研究開発機構 第一宇宙技術部門
高精度測位システムプロジェクトチーム サブマネージャ

2003年 宇宙開発事業団に入社
2007年~ 準天頂衛星初号機の開発プロジェクトに参画し、以降準天頂衛星関係の業務に従事
現在は5~7号機向け高精度測位システムの開発を終え、実証運用準備および将来測位技術の研究開発を実施
山本 享弘

山本 享弘

株式会社コア GNSSソリューションビジネスセンター
常務執行役員 センター長

2005年 株式会社コアに入社
2016年~ 準天頂衛星みちびきを含むGNSSソリューションの研究開発に従事

Q1

7機体制が必要とされる理由をお聞かせください。

小暮さん:

みちびき(準天頂衛星システム)は、日本を中心にアジア・太平洋地域に位置・時間情報を提供しています。開発・整備・運用・サービス提供を内閣府が担当しており、私たち宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、衛星やそれに付帯する機器の研究開発に携わっています。
衛星測位をするためには、最低でも4機以上の衛星から同時に信号を受信する必要があります。
アジア・太平洋全域で常に4機以上の衛星から信号を受信するためには、最低でも7機の衛星が必要です。そのため、現状の4機では数が足らず、他国のGPS信号に依存している状態です。たとえばアメリカのGPSがトラブルで動かなくなると、位置情報を正確に得られなくなってしまいます。7機にすることで、日本で独立して正確な位置情報を得られるのです。

インタビュー写真③

Q2

JAXAで開発されている高精度測位システムASNAVについて教えてください。

松本さん:

みちびき5・6・7号機から高精度測位システム(ASNAV:Advanced Satellite NAVigation system)という機能が搭載されます。これは衛星間測距機能と衛星/地上間測距機能という新しい機能を搭載することで、測位衛星の位置と時刻をより正しく推定できるようになるものです。衛星間測距機能は、地上に配置された監視局から衛星までの距離を測るだけではなく、宇宙空間の衛星から別の衛星までの距離を測ることにより、宇宙空間に監視局を配置したのと同等の効果が得られ、衛星の位置をより正確に知ることができるようになります。衛星/地上間測距機能は、衛星から地上の一方向だけで距離を計測するのではなく、衛星から地上と地上から衛星の双方向で距離を計測することで、時刻誤差と測距誤差を数学的に分離し、軌道クロック推定精度を高めるものになります。
その結果、スマートフォンのような一般的な受信機へのユーザ測位精度を飛躍的に向上させることができます。ゆくゆくは本機能を全ての衛星に搭載し、現状は5-10メートルの精度を1メートルまで引き上げる予定です。

インタビュー写真④
衛星間測距システム
衛星/地上間測距システム

Q3

ASNAVを開発するにあたって、苦労したことや難しかったことを教えてください。

明神さん:

衛星間測距機能と衛星/地上間測距機能を実現するためのコンポーネント(機器)の開発に苦労しました。コンポーネントを開発してから実際に距離を測定してみると、電波の干渉などの影響を受け、精密に測定するのがかなり難しいことがわかりました。その対処のために、宇宙空間での温度・真空状態を再現した環境で実験を行いました。すると、温度変化も測距性能に影響していることがわかったのです。測定に干渉している原因を一つひとつ突き止め、対策するのに時間がかかりました。
また、衛星と地上間ではある程度距離が一定ですが、衛星同士では距離の変動の幅が大きいです。変動の幅が大きいものを精密に測定するというのは、かなり難しかったですね。どちらかというと、衛星間測距機能の開発の方が苦労が多かったように思います。

インタビュー写真⑤

Q4

JAXAで開発されている高精度測位補強サービスMADOCA-PPPについて教えてください。

小暮さん:

MADOCA-PPPは、世界中に配置した電子基準点網のデータを使って、衛星の軌道とクロックを高精度に推定するシステムです。
この推定した軌道とクロックの情報をアジア全体に向けて放送することによって、センチメートル級測位を実現します。これにより、太平洋の真ん中であれ、オーストラリアの砂漠であれ、地上の回線が一切ない場所でも高精度の測位ができるようになる可能性があります。また、MADOCA-PPPでは、センチメートル級の精度が出るまでに30分程度の時間がかかっていました。この時間を短縮するために、新しく打ち上げられる6号機と7号機から、広域電離層の補正情報を配信します。その結果、15分程度時間を短縮できるようになる予定です。6号機と7号機が打ち上がってから、実際に衛星配信による試験放送を始め、性能が確認できてから実際にサービスとして提供していきます。

インタビュー写真⑥

Q5

今回開発した技術をどのように発展させる予定でしょうか。

松本さん:

今回開発した高精度測位システムを軌道上に乗せ、信号を配信してユーザ測位精度が得られる状態で3年ほど検証します。それが上手くいったら、そのシステムをサービスに実装していく予定です。

インタビュー写真⑦

Q6

将来の衛星に向けて、新しい取り組みはありますか。

明神さん:

衛星測位の中には原子時計という時刻を司る時計があります。それが安定的に精密な時刻をどれだけ刻めるかが、測位衛星・測位信号の精度に影響します。今までは1つの原子時計の情報をもとに測位信号を作っていましたが、搭載している複数の原子時計の出力を合成し、より安定的な精度にする研究を行っています。

インタビュー写真⑧

Q7

みちびきの新しい機能によってどのようなサービスが提供されますか。

小暮さん:

位置と時刻をより正確に知れるようになれば、今以上に信頼できる情報として使えるようになります。その結果、アジア全域でいろいろなアプリケーションに技術が広がっていくといいですね。貴社には本技術をいち早く、受信機に採用していただきました。今後はドローンや自動走行、高度安全運転支援などにも広まっていけば幸いです。

インタビュー写真⑨

 

Q8

今後利用者にとって普及が期待されるサービスを教えてください。

小暮さん:

位置と時刻を正確に知るだけでなく、今後はより安定的に信頼できる情報として使えるようにしてゆくことが非常に重要と考えています。その一つとして信号認証のサービスが開始されていますが、確実に信頼できる情報として使えるようになることでアプリケーションの広がりも期待できます。こういった機能がアジア全域で世界に先駆けて広く使えることはみちびきの大きなメリットであり、広がってゆくことを期待しています。また、ASNAVやMADOCA-PPPによって地上回線を使わずとも高精度測位ができることは、ユーザにとって大きなメリットであり、ドローンや自動走行、高度安全運転支援などの分野に広めてゆきたいと考えています。

インタビュー写真⑩
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feature

 

様々な分野での宇宙テック事業

 
ドローンサービス

高精度測位を活用したドローンサービス ChronoSky

ChronoSkyは、ドローンと高精度測位や人工知能(AI)を組合わせることで、作業現場負荷の少ないドローン点検や測量、膨大な撮影データ解析の自動化・効率化を実現します。

点検・見える化測量農業配送

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位置管理サービス

資材管理ソリューション

大型資材の場所や情報を地図アプリで可視化。
資材の管理に費やす時間を大幅に削減します。

位置管理入出庫管理軌跡管理

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高精度位置XRサービス

高精度位置XRサービス

高精度位置XRサービスは、見えない対象を正確に可視化することでインフラ点検の作業時間短縮や視覚的情報による作業円滑化を実現します。

インフラ土木・建設物流・プラント

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お問い合わせ
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feature

 

みちびきとは

みちびきとは、GPSを補完し高精度な測位サービスを提供する、日本独自の準天頂衛星システムです。
日本周辺での衛星の可視性を向上させることで、ビル街や山間部などGPS信号が届きにくい場所でも安定した位置情報を取得可能です。

これにより、災害時の救援活動、精密農業、自動運転技術、測量など、多岐にわたる分野で活用が進められています。
また、センチメートル級測位や信号認証機能により、さらなる高精度化と安全性向上を実現しています。

みちびきとは、GPSを補完し高精度な測位サービスを提供する、日本独自の準天頂衛星システムです。
日本周辺での衛星の可視性を向上させることで、ビル街や山間部などGPS信号が届きにくい場所でも安定した位置情報を取得可能です。

これにより、災害時の救援活動、精密農業、自動運転技術、測量など、多岐にわたる分野で活用が進められています。
また、センチメートル級測位や信号認証機能により、さらなる高精度化と安全性向上を実現しています。

 

feature

 

MADOCA-PPP対応GNSS受信機『Cohac∞ Ten++』

MADOCA-PPPとは


MADOCA-PPPは準天頂衛星みちびきがサービス提供する、海洋上やアジア・オセアニア地域で利用可能なデシメートル精度の測位方式です。
ネットワークを使用せず、海洋上や通信インフラの利用が難しい地域でも精密な位置情報を得ることが可能となります。

MADOCA-PPP

 

MADOCA-PPP-ARとは


MADOCA-PPP-ARは、みちびきから配信される補正情報を利用して、高精度な位置情報を取得する技術です。

従来のMADOCA-PPPでは約30分かかっていた、高精度な測位を利用できるまでの待ち時間を10分以下に短縮します。これにより、現場での作業をより早く開始できます。

また、測位結果が高精度で安定した状態になったことを「Fix」という表示で確認できるため、位置情報を利用できるタイミングを分かりやすく判断できます。

みちびきの見える範囲であれば基準局の設置や携帯電話回線を必要とせず、海外や海洋、離島、山間部など、通信環境が整っていない場所でも高精度測位を利用できます。

 

みちびき対応GNSS受信機


 

Cohac∞ Ten++

Cohac∞ Ten++


MADOCA-PPP・CLASに対応した
小型の高精度測位受信機

  • みちびき信号認証サービスによるspoofing検出機能搭載
  • MADOCA-PPP・CLAS測位に対応
  • 「RTK⇔MADOCA-PPP」、「RTK⇔CLAS」の自動切替機能搭載 ※特許取得済み機能
  • アンテナを2個使用することで正確な方位計測が可能

 

Cohac∞ Ten+

Cohac∞ Ten+


MADOCA-PPP・CLAS測位に対応した
防塵・防水のセンチメータ精度GNSS受信機

  • MADOCA-PPP・CLAS測位に対応
  • 「RTK⇔MADOCA-PPP」、「RTK⇔CLAS」の自動切替機能搭載 ※特許取得済み機能
  • 防塵・防水を実現

 

Cohac∞ Ten

Cohac∞ Ten


センチメータ級の高精度測位を小型軽量で実現

  • わずか100gの受信機で、みちびきCLASによる高精度測位が可能に(サイズ:100×67×24 mm)
  • 付属アンテナ・受信機ともに小型軽量であるため機器への組込みに最適
  • 基板単体でのご提供も可能

 

Cohac∞ QZNEO

Cohac∞ QZNEO


みちびき対応マルチGNSS小型2周波受信機

  • 2周波高精度GNSS受信機で安定したサブメータ測位が可能
  • 2周波RTKでセンチメータ測位も可能に
  • みちびきL1S(災厄通報・SLASサービス)に対応

 

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