1. トップページ
  2. 先端テクノロジー

先端テクノロジー

当社は、新たなICT社会による「住みやすく、様々な人が安心・安全に暮らせる世界」や「様々な産業の効率化」の実現に最適なソリューションをご提供すべく、最先端の技術について日々研究・開発を行っています。

GNSS

衛星使いcm級の精度を出す受信機を国産技術で作る

衛星使いcm級の精度を出す受信機を国産技術で作る
急ピッチで構築が進む衛星活用の測位システムにいち早く対応
 今、世界中で、人工衛星を活用した高精度な測位システムの構築が急ピッチで進んでいる。例えば日本では準天頂衛星の初号機「みちびき」を2010年に打ち上げ試験運用中だ。2018年度には4機の準天頂衛星が利用可能となる予定だ。先行している米国、ロシアに加え、欧州、中国もそれぞれの衛星網を構築する計画を進めている。
現在、広く使われているGPS(Global Positioning System)を使ったナビゲーションシステムの精度は、10mといったところだ。ところが、新たな準天頂衛星測位システムを使えば、その精度が数cmと桁違いに跳ね上がるのだ。
 このような高精度の測位システムを活用できるようになれば、従来から使われていたナビゲーションシステムの概念を超えた新たな応用が可能となる。例えば車庫入れを含む運転の自動化など、より幅広い応用が開ける。日本国内でも、農業機械の自律運転に活用する実証実験が進行中だ。
 ところが、高精度の測位を狙う人工衛星がすでに運用中なのにも関わらず、cm級の精度を持つ受信機の開発はまだまだ国産で進んでいないのが実情だ。「衛星は上がっているのに、受信機がないのが現状」(株式会社コア、先端組込み開発センター長 西出隆広氏)だったのだ。従来のGPSの受信機能は、今や携帯電話、スマートフォンにも搭載されるようになり普及しているが、高精度のGNSS(Global Navigation Satellite System、全地球航法衛星システム)や準天頂衛星システムに代表されるRNSS(地域航法衛星システム) の活用はまだまだ進んでいないのだ。
株式会社コアが開発を進める「精密単独測位方式対応cm級測位受信機」
 そこで、株式会社コアがJAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同研究を組み、コアが開発しているのが「精密単独測位方式対応cm級測位受信機」だ。この受信機は農林水産省の公募研究「準天頂衛星の精密測位を活用した農作業の自動化・効率化に関する実証研究」で採用された。近々cm級の精度を出せることをコア開発受信機で実証する。
 この受信機を開発するにあたり問題になったのは、市販の汎用品を組み合わせるだけではcm級の高精度の受信機開発が困難なことだった。例えば、高精度の測位のためには電離層での電波の遅延時間を補正する必要があり、準天頂衛星が放つ「LEX信号」と、複数の衛星から到着する複数の周波数の信号を同時にキャッチしなければならないが、そのために必要なRF(高周波回路)が回路として市販品には適当なものがない。そこで、市販部品を使いながら独自に回路を設計し、受信機を開発した。これらの工夫により、国産衛星と国産技術により、高精度の測位システムを作ることができた。
「マルチGNSS対応PCソフトウェア受信機」が開発を支援
 この高精度の受信機を開発するため、重要な役割を果たしたのが、「マルチGNSS対応PCソフトウェア受信機」だ。パソコン上で動作するソフトウェアにより、2周波対応の高精度受信機の機能を実現したものだ。前述の「cm級測位受信機」では、このソフトウェア受信機により検証したロジックをFPGAとマイクロコンピュータ内に組み込み、175mm×140mm×45mmとコンパクトな筐体にcm級測位に必要な機能をすべて納めている。
 衛星はあるが、受信機がない──この状況を国産技術で解決すべく、開発陣は苦心を続けてきた。「独自に技術を持たないと、かゆいところに手が届かなくなる」(前出の西出氏)からだ。日本製の衛星を日本製の受信機で活用する試みが、今の日本の最先端の組込みテクノロジーによって始まりつつあるのだ。
責任者
株式会社コア 西出 隆広
1979年入社
入社後は、ハードウェアの開発に26年間従事。
その後、GPSの研究開発を立ち上げ、準天頂衛星対応測位受信機の開発および次世代のcm測位技術を利用したGNSS事業創出に取り組む。
西出 隆広
▲ ページトップへ

ASURA-CSAC

原子時計を活用してIoT/M2Mを高精度化するマイコンボードを開発

原子時計を活用してIoT/M2Mを高精度化するマイコンボードを開発
「ASURA CSAC」は原子時計を搭載したマイコンボード
 「ASURA CSAC」は、世界的に見ても例を見ないユニークな機能を備えたマイコンボードだ。超小型の「チップスケール原子時計(Chip-Scale Atomic Clock、CSAC)」を基板上に実装し、汎用マイコンと組み合わせて活用できるのである。
 超小型のチップスケール原子時計(CSAC)の精度(周波数安定度)は10のマイナス11乗と、電子機器で使われる水晶発振器に比べ桁違いに高い。すなわち、時刻の誤差が生じにくい。CSACが普及すれば、原子時計の精度を活用できる分野は今後広がっていくと期待されている。しかし、その精度を活用するまでのハードルは高い。「精度が高すぎ、普通のマイコンボードに取り付けただけではその効果を発揮できない」(株式会社コア 先端組込み開発センター 技術主任技師の山本享弘氏)ためだ。マイコン上で動作するソフトウェアで処理すれば、割り込みなどに阻害されてリアルタイム性を保証できず、原子時計本来の精度が活かせないのだ。
原子時計の精度を活用するハードウェアアーキテクチャを考案
 ASURA CSACでは、タイムスタンプのリアルタイム性は確保しつつ、システムの柔軟性を実現するための工夫を行っている。「原子時計の精度を活用できるハードウェアアーキテクチャを考案した」と前出の山本氏は話す。並列処理可能なハードウェアロジックにより、流れ込むデータに対して高精度なタイムスタンプを付与してリアルタイム性を確保する。ハードウェアにはプログラマブルなFPGAを使用することで、データ固有の処理を行わせることもできる。汎用マイコンを搭載し、タイプスタンプ付与後のデータに関してはソフトウェアで解析や加工などの高度な処理を行うことで、時刻の高精度化と柔軟性を両立している。
 さらにASURA CSACでは、高精度なタイムスタンプを付与したデータをIoT/M2Mで活用するために、センサ基板とのインタフェースやネットワークの機能を備えている。センサ基板はコネクタによって差し替え可能となっており、加速度センサ基板のほか、アナログ入力により既存の各種センサ類と接続できる汎用センサ基板が用意されている。ネットワークの機能としては、Ethernetの有線通信に加えて、WiFiや3Gの無線通信が利用可能である。もちろん、肝心な原子時計の時刻合わせのために、周波数標準器との接続を想定した1 PPS入力や衛星を介して時刻同期を行うGPS、通信ネットワークを介して時刻同期を行うIEEE1588の機能も備えている。
IoT/M2Mにおけるマシンタイムレベルでの制御が実現可能に
 これらの専用回路やインタフェース群により、例えばセンサで取得したデータに対して原子時計の精度でタイムスタンプを与え、即座にクラウドに転送するといった高度なシステムを容易に構築可能となった。通常の汎用マイコンボードと同じ感覚でソフトウェアを開発すれば、高度な時刻精度を持ったシステムが実現できるのである。人を介さず自律的に機器が動作するIoT(Internet of Things)やM2M(Machine to Machine)の分野では、これまでよりも精度の高いマシンタイムレベルでの制御が必要となる場面が想定され、このようなIoT/M2Mのニーズに原子時計を活用して応えるのがASURA CSACなのである。
責任者
株式会社コア 山本 享弘
2000年 京都大学大学院 工学研究科 修士課程修了。2000年 株式会社NTTドコモ入社。2005年 株式会社コア入社。2012年 東京大学大学院 工学系研究科 博士課程修了。2012年 情報処理学会 山下記念研究賞受賞。
2014年 組込み総合技術展 ET2014 ETアワード IoTテクノロジー賞受賞。IEEE、情報処理学会、電子情報通信学会各会員。現在、GNSSソリューション開発センターにてIoT/M2Mの研究開発に従事。
山本 享弘
▲ ページトップへ

4Kテロップシステム

4K映像の普及へ向け、プロのニーズにいち早く対応

4K映像の普及へ向け、プロのニーズにいち早く対応
試験放送局に採用された4Kテロップシステム「GRID-ZERO」
 現行ハイビジョンの4倍の画素数を扱う映像規格「4K」への期待が高まりつつある。高精細の迫力ある映像は、サッカーのワールドカップ中継や、2020年に開催される東京オリンピックの中継などで威力を発揮するだろう。そんな期待をこめて日本初の4K試験放送局として2014年6月に開局した「Channel 4K」(運営元は次世代放送推進フォーラム、略称:NexTV-F)が採用した4Kテロップシステムが「GRID-ZERO(グリッド・ゼロ)」である。
 開発元の株式会社ラムダシステムズは、汎用テロップシステムNeo・n(ネオン)で放送局向けの実績を築いてきた。このGRID-ZEROでも「4K放送のタイミングに遅れないように開発を進めてきた」と、同社取締役の齋藤功武氏は語る。4Kの高精細映像でも、従来のHD向けテロップシステムと同等の柔軟な表現力を両立させた。例えば3D(3次元)表現の文字のテクスチャとして「炎」の動画を合成するような表現力を備えている。
膨大な蓄積がある既存テロップ素材も、4Kテロップの制作に活用可能
 このGRID-ZEROの大きな特徴は、最新の4K映像制作においても、放送局が築き上げてきた過去の資産を活用できるように考えられていることだ。例えば、放送局内に膨大に蓄積されているテロップ素材を、4Kテロップの制作に利用できる。放送局は、テロップシステムと連携する各種専用システム、例えばスポーツ、選挙システムなどを構築している。これらの既存システムに4Kテロップシステムを組み合わせることも可能とした。さらに4Kだけでなく現行のHD解像度のテロップとしても活用できる。生放送でのテロップ処理だけでなく、録画素材の後編集にも活用できるよう工夫した。
 従来のHDの4倍の画素数を扱う4Kテロップシステムの実現では、性能上の要求も厳しい。4Kに必要な性能を実現するため、ハードウェア、ソフトウェアとも自社開発した。特に、テロップシステムの中核となる4K対応フレームバッファを新たに開発している。FPGAによる専用回路を並列動作させることで、HDの4倍の画素数を扱うための高速処理を実現した。こうしたプロの基準を満たす4Kテロップシステムを開発するまでには、試行錯誤も必要だった。
放送の現場のニーズに柔軟に対応したシステムとして設計
 4Kの性能を持ちながら、従来のテロップシステムと同じフォームファクター(外形寸法)に納め、設置のための機器レイアウト変更の必要がないようにした。「小型で喜ばれている」と前出の齋藤氏は話す。さらに、自社開発のハードウェア、ソフトウェアであるために迅速なサポートが可能となっている。このように、放送の現場のニーズに柔軟に対応したシステムとして設計されていることも特徴だ。
 今後、放送の世界にはさらなる技術革新の波が押し寄せる。ひとつは4Kのさらに4倍の高精細な映像を扱うスーパーハイビジョン「8K」。そして、スーパーハイビジョン規格のITU-R勧告 BT.2020が採用する、より忠実な表現を可能とする新たな色域規格だ。同社は4Kテロップを開発した技術力を駆使し、新技術にもいち早く対応していく構えだ。
責任者
株式会社ラムダシステムズ 齋藤 功武
1991年入社。入社後は放送局向けテロップシステムのソフトウェア開発を担当。
現在は企画からハードウェアを含む製品開発全般を管理、新技術の製品化にも取り組む。
齋藤 功武

ページトップへ